東野圭吾『片想い』

東野圭吾の『片想い』を読破しました。
いやー、やはり東野は面白い。そして読みやすい。今回は割りと一気に読んでしまいました。実質3日くらいだったでしょうかね~。

物語のあらすじは、
帝大アメリカンフットボール部に所属していた主人公の西脇哲朗。その彼が10年振りに女子マネージャーだった日浦美月と出会う。10年振りに再会した彼女は・・・男の姿をしていた。彼女から殺人の告白をされた哲朗は、美月の親友である妻と共に、彼女を匿う。最初は単純な衝動的に起こってしまった殺人事件であると思われたのだが、時間が経つにつれ、次々と新たな真相が見え始める。10年という歳月は、かつての仲間たちを、そして自分を変えてしまったのだろうか?過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描いた、傑作長編ミステリー。

よし言葉が思い浮かばないから途中から本の裏に載ってるあらすじをパクった。
あ、パクリじゃなくてインスパイアーした!

『片想い』は性同一性障害をテーマにしたミステリー物です。
でも、読み終わった感想としてはミステリーといっていいのかどうか迷ってしまうところでもあります。
というのも、この物語は前半と後半で、まったく違う様相を呈しているからです。
前半は、あらすじで書いたとおり、10年振りに再会した美月に殺人の告白をされた哲朗と、その妻である理沙子、そしてかつての仲間である須貝や中尾が美月を守るために、色々と行動を起こしていく青春物?という風に描かれています。
ですが、後半は物語はまったく違う方向へ傾いていくのです・・・。後半は色んな事情からあんまり内容については書けません。

最初は単純な殺人事件。自らが犯人だと名乗る美月が自首していればそれで終わったのかもしれない。でも何故しなかったのか?何故出来なかったのか?何故させなかったのか?この辺りの登場人物全員の様々な想いが交錯していき、物語はあらぬ方向に進んでいく。こういう展開になるのか・・・っていう東野さんの文章の構成力には脱帽するしかありません。

『片想い』に登場する人物は皆、深くそして見事に人間臭さが描かれています。
フリーライターとして仕事に励む主人公の西脇哲朗。
女性カメラマンとして着実に成功を収めつつある哲朗の妻、理沙子。
自らの性の疑問に悩み続け生きてきた美月。
かつての美月の恋人、中尾。
皆のことが心配だが自らの身に火の粉が降りかかるのはごめんだという小心者、須貝。
現在は新聞記者となり事件を違う角度から追うことになる早田。
彼らの様々な想いが交錯し物語を紡ぎだしているのです。
10年前の過去の自分、そして現在の自分。
表面上の自分の想い、そして内に秘められた別の想い。
もうね、そんなのが色々とでてきてとてもとても複雑です。

中でも俺が好きだったのは早田という人物でしょうか。
彼は新聞記者という仕事柄、いちはやく事件の裏に潜む何かに気づきました。
そしてその何かに、かつての仲間たちが絡んでいることにも気づきます。
そこで早田は主人公である哲朗を呼び出してこう語るんです。

「はっきり言う。俺はお前たちの味方にはなってやれない」
「俺はまだ何も摑んじゃいないがこれだけは分かる。お前たちは何かを知っている、そしてそれを隠そうとしている」
「俺の仕事は隠された事を暴く事だ。それがどんなに人を傷つける事になるかどうかなんてとりあえずは考えない。だから、俺はお前たちが隠そうとしていることも暴かなきゃならない」
「だけど、俺はお前やお前の周りから情報を得ようとはしない。完全に別のルートから事件を追う。その結果、何かを失う事になるかもしれない。だがその後のことは、その時になって考える。あくまでもフェアにやりたい」

早田は言葉どおり、事件を独自のルートで調べ、真相に近づいていきます。
そして再び哲朗と正面からぶつかることになるのですが、彼は最後まで自分がフェアであることを貫き通そうとします。自らが言い放った言葉どおり、決して哲朗の味方にはならず・・・でも最後の最後に!?おっとこれ以上は言えません。
早田がどんな奴だったのか実際に読んで確かめてみてください!

さてさて、相変わらず自分で何が書きたいのか分からなくなってきたのでまとめましょう。
『片想い』は単純なミステリー物ではありません。
一応、犯人らしき登場人物もいますが、事件自体の真相は最後に行き着く前に分かってしまう事でしょう、この物語はそんな殺人事件よりも、もっと深い出来事が隠されているのです。

東野作品は最後がダークネスなまま終わるってのが多いんですが、本作もご多分に漏れず・・・もうちょっとハッピーな終わり方でも良かったんじゃ・・・いやこれはこれでハッピーエンドなのかも・・・読んだ人によって受け取り方が違う結末になることでしょう。

久しぶりに東野さんの作品を読みましたが、東野は面白い!ってことを再認識した今日この頃でした。
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Commented by はいり at 2006-06-23 07:20 x
お~片想いよかったよね
「悪意」と「ある閉ざされた雪の山荘で」買ってきました。
まだ読んでないけど。
Commented by kannei0521 at 2006-06-23 22:54
「片想い」面白かったですね。
自分が良かれと思ってやっていることも、他人にとっては迷惑なことにもなる。というようなことを深く考えさせられる作品でした。

「悪意」は何回か書きましたけどオヌヌメですよ!
加賀刑事の推理をじっくり堪能してください。
「ある閉ざされた山荘で」は一風変わったミステリーですけど、こちらも結構面白いですわよ。
感想日記待ってるお^^
Commented by まりっく at 2006-06-24 03:15 x
やべー・・・・・

私は読書が大嫌い!
でも、生まれてはじめてに近いくらい、おもしろそうだとおもいました。
誰かこれを映画に(ry

近いうち本屋のぞいてみるわ!
Commented by kannei0521 at 2006-06-24 09:42
YOU読んじゃいなよ!

東野圭吾は文体がとても読みやすいので、読書嫌いな人でもさくっと読めちゃうと思いますよ。
「片想い」はミステリーとしてはどうかと思いますが、純粋な読み物としては中々面白い作品でした。

ちなみに、東野作品で映画化されているのは、
「秘密」(広末涼子主演)
「ゲームの名は誘拐」(映画のタイトルはg@me)
「レイクサイド」(役所広司 豊川悦司 他出演 映画のタイトルは「レイクサイドマーダーケース」)
「変身」
「手紙」(近日中に映画化決定)
がありますが、残念ながら「片想い」は映画化はされていません。
by kannei0521 | 2006-06-22 22:34 | 読書日記 | Comments(4)

ゲーム日記らしいです。


by kannei0521
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